皆さんこんにちは!
長崎県雲仙市を拠点に型枠工事を行っている
有限会社前田建業、更新担当の富山です。
~「固まった瞬間」から始まる品質管理~
コンクリートの打設が終わっても、現場の仕事は終わらない。
むしろ、コンクリートが固まり始めてからが本当の勝負である。
「脱型(だっけい)」――
それは、型枠という支えを外し、構造体を“独り立ち”させる工程。
この一連の作業には、力学・化学・温度・タイミング――
すべての知識が要求される。
脱型の時期は、「構造体が自立できる強度」に達しているかで決まる。
通常、型枠を外す際には、設計基準強度(Fc)に対して
おおよそ5〜10N/mm²程度の圧縮強度を確保することが望ましい。
ただし、これは一律ではなく、部位ごとに異なる。
| 部位 | 脱型基準強度(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 側面型枠(柱・壁) | 約5N/mm² | 表面保持が目的 |
| 床型枠 | 約10N/mm² | 自重を支える |
| 梁下支保工 | 約15N/mm² | 構造安全性に直結 |
温度が低い季節(冬期)では硬化が遅れるため、
予定より1〜2日延長するのが一般的である。
コンクリートは水和反応により硬化する。
その進行は温度と水分に強く依存する。
高温時(夏季):硬化が早いが、急乾燥による表面ひび割れに注意。
低温時(冬季):硬化が遅く、脱型時に強度不足が起こりやすい。
高湿環境:脱型後の養生不足で表面が劣化しやすい。
打設から脱型までの間、表面乾燥を防ぐために養生シートや散水が行われるが、
養生を怠ると表層強度が10〜20%低下する例もある。
脱型は、ただ外す作業ではない。
外す順番と方法によって、仕上がりの美観と安全が大きく変わる。
1️⃣ 支保工を残したまま外周部から始める
構造体を安定させるため、荷重を分散しながら部分的に外す。
2️⃣ 打継ぎ部・角部の保護
型枠の金物が角部に接触しないよう注意。角欠け防止材を併用。
3️⃣ 振動・衝撃を避ける
ハンマー等での叩き過ぎはNG。剥離剤が均一に作用していれば自然に外れる。
4️⃣ 脱型後の表面点検
ジャンカ・気泡・欠け・ヒビ・剥離の有無を確認し、補修計画へ反映。
脱型は、構造体の応力状態を大きく変化させる。
それまで型枠が受けていた側圧・自重が、
瞬時にコンクリート本体に移行するためだ。
特に梁やスラブでは、
脱型直後に“たわみ”が発生する場合がある。
この初期変形を防ぐため、
残存支保工を2〜3スパンに1本残す
一度に全撤去せず、段階的に行う
気温変化の大きい日は午後作業を避ける
といった方法が取られる。
脱型後は、仕上げ面の品質を左右する最終チェックが行われる。
気泡跡(ピンホール)・ジャンカの補修、目違い調整、角欠け補修――。
これらを丁寧に仕上げることで、最終的な外観品質が決まる。
また、使用済み型枠は再利用されるため、
取り外しの際に面材を傷つけず、金物を変形させないことも重要。
脱型時の丁寧な扱いが、そのまま次現場のコスト削減・品質維持につながる。
🔹 脱型は構造物が自立する最初の瞬間
🔹 コンクリート強度と環境条件の見極めが不可欠
🔹 外す順序と支保工管理が品質と安全の鍵
🔹 脱型後の点検・補修で仕上げ品質を確定
コンクリートが固まり、型枠が外れるその瞬間。
そこに現れる滑らかな打ち肌には、
数多の職人と技術者の経験、判断、そして緊張が刻まれている。
脱型とは、構造物が「完成形へと目覚める瞬間」なのである。
次回もお楽しみに!
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~構造物の品質を左右する「見えない器」の科学~
コンクリート構造物の完成度を決めるのは、実は打設後の見た目ではない。
その前段階――すなわち、「型枠の設計と施工精度」によってほぼ決まると言っても過言ではない。
型枠は、まだ流動性を持つコンクリートを所定の形に保持し、
硬化完了までの間に自重・振動・温度応力・側圧など、
あらゆる外力を受け止める“構造体の母胎”である。
型枠には以下の4つの性能が求められる。
1️⃣ 形状保持性能
設計図通りの形状・寸法・かぶり厚さを保つ。
2️⃣ 耐圧・剛性性能
コンクリート打設時の側圧や振動に耐え、変形・漏れ・破損を防ぐ。
3️⃣ 施工性・脱型性
組立・解体が効率的であり、表面に付着せず再利用が可能。
4️⃣ 表面精度
打設後の仕上げ面が平滑で、美観・防水性能を確保できる。
このうち最も重要なのは「側圧への対応」。
打設時のコンクリートは1立方メートルあたり約2.3〜2.4tの重さを持ち、
内部の側圧は下部ほど強くなる。
特に高流動コンクリート(スランプフロー60cm以上)では、
液体に近い圧力がかかるため、
型枠の構造設計を誤ると、膨らみ・破損・漏れ・倒壊を招く。
型枠は単なる「板」ではない。
以下の複数の部材で構成される、ひとつの構造システムである。
面材(合板・鋼板・樹脂板など):コンクリートと接する部分
根太(ねだ)・大引き:面材を支える水平材
支保工(パイプサポート):垂直荷重を受ける柱材
セパレーター・フォームタイ:両側型枠を一定間隔で固定
締付金物(くさび・ボルト・ナット):型枠全体の剛性を維持
これらが一体となることで、
「面内剛性」「面外剛性」「耐座屈性能」が発揮される。
型枠設計では、以下の荷重を同時に考慮する。
コンクリート側圧:打設高さと速度に比例して増大(p = k × h)
振動による動圧:バイブレーター振動時の瞬間的圧力上昇
作業荷重:作業員・器具の荷重(1.5kN/m²程度を想定)
風荷重:高層・外壁型枠で考慮
温度応力・水和熱膨張:大型構造物では重要
特に側圧は「温度」と「打設速度」に左右され、
コンクリート温度が高いほど、初期硬化が早く側圧は小さくなる。
逆に寒冷期や高スランプの場合、硬化が遅れ、
側圧が最大で設計値の1.5倍程度に増大するケースもある。
したがって、型枠設計は現場環境(季節・気温・湿度)に応じた動的な判断が必要。
強度と精度を両立するためには、
面材の継ぎ目をずらす「目違い防止」
支柱ピッチの均一化(通常600mm以下)
水平根太のねじれ防止
セパレーター間隔の管理
が欠かせない。
特に、コンクリート打設時に「型枠の浮き・倒れ・爆裂」が起きる原因の多くは、
仮設段階での固定不良にある。
例えば、角部・開口部の補強を怠ると、
コンクリートの充填圧で目地が広がり、
モルタル漏れ(ジャンカ・気泡・ハチの巣)を生じる。
型枠は一度変形すると元に戻らない。
ゆえに「打設前の確認」と「打設中の監視」が極めて重要になる。
型枠面材の選定は、仕上がりに直結する。
合板の表面処理(メラミン・樹脂塗装など)によって、
コンクリート表面の色調・気泡・ツヤが変化する。
また、剥離剤の塗布量も品質に影響する。
厚すぎれば気泡やムラを生じ、薄すぎれば付着して脱型が困難になる。
公共建築物では「型枠面材規格(JASS 5)」に基づき、
**仕上げ区分(A・B・C)**を選定することで、
均一な外観品質を確保する。
🔹 型枠は構造物を形づくる“力学的容器”
🔹 数トンの側圧に耐える強度と剛性が必須
🔹 現場条件(気温・打設速度)に応じた設計が重要
🔹 面材・金物・支保工の精度が仕上がりを決定づける
建築の完成美の裏には、
無数の型枠技術者の知恵と計算、そして緊張がある。
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長崎県雲仙市を拠点に型枠工事を行っている
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型枠工事は、現場の中でも特に事故のリスクが高い作業のひとつです。
重たい資材を扱い、高い場所で作業することも多いため、ちょっとした油断が大きな事故につながってしまいます。
だからこそ、安全管理はどんなときでも最優先。職人たちは「安全第一」を合言葉に、日々の作業に臨んでいます。
転落事故
壁や柱の型枠を組むときは足場の上で作業することが多く、バランスを崩せば一瞬で落下してしまいます。
資材の落下・挟まれ
鋼製型枠やベニヤ板は重量があり、落下すれば大事故に。さらに組み立て中に資材の間に挟まれる危険もあります。
支保工の倒壊
支保工の設置が甘いと、コンクリートを流し込んだ際の重さに耐えられず、倒壊する可能性があります。
保護具の徹底
ヘルメット・安全靴・安全帯の着用は基本。特に高所では二重に安全帯をかけることもあります。
支保工の入念な点検
コンクリート打設前には必ずぐらつきや不具合をチェックし、少しでも不安があればやり直します。
声掛けと合図
クレーンで資材を吊り込むときは、指揮をする人を一人に決め、手信号や声掛けで全員が動きを把握します。これが事故防止の決め手です。
朝礼での危険予知(KY活動)
「今日の作業でどんな危険がありそうか」をみんなで出し合い、全員が意識を持って作業に臨みます。
新人教育
若手の作業員には、先輩が実際の事故例を交えながら「どんなときに危ないのか」を教えます。
安全パトロール
現場監督が巡回し、危険な場所や行動をその場で注意。小さな改善の積み重ねで事故を未然に防いでいます。
最近は、ICTやAIを活用した安全対策も増えてきました。
ウェアラブル端末で作業員の位置や体調を管理し、危険区域に入ると警告が出る仕組み。
ドローンを使った高所の点検。
AIカメラが危険な行動を自動で検知し、管理者に知らせるシステム。
また、軽量の型枠材やユニット化された工法も増え、作業そのものの安全性が高まってきています。
型枠工事はリスクの多い作業ですが、しっかりとした安全対策を徹底することで事故は防げます。
保護具の着用、支保工の点検、声掛けと合図の徹底――これらは一見当たり前のようですが、その「当たり前」を毎日守り抜くことが命を守ることにつながります。
さらに新しい技術を積極的に取り入れることで、未来の現場はもっと安全になっていくでしょう。
次回もお楽しみに!
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建物を建てるとき、見た目のデザインや豪華な設備に目が行きがちですが、実はその根底を支えているのが「型枠工事の精度」です。
型枠は、コンクリートを流し込むための“型”となる部分。これが正しく組まれていなければ、建物全体の寸法が狂ったり、強度不足になったりする危険があります。
型枠工事は「精密さ」が命。
職人たちは常に数ミリ単位の誤差にも気を配りながら作業を行っています。
例えば、壁がわずか3ミリでも薄くなったとしましょう。その部分は設計通りの強度を発揮できなくなり、建物全体の耐震性に影響する可能性があります。また、柱がわずかに傾いていると、上の階にいくにつれてズレが広がり、最終的には窓やドアがきちんと収まらない、内装が浮いてしまうといったトラブルに発展します。
さらに、こうした誤差は完成直後には目立たなくても、数年後に「ひび割れ」や「雨漏り」といった不具合として現れることがあります。つまり、精度管理は「今のため」だけではなく「未来の品質保証」にも直結しているのです。
昔は水糸や下げ振りが主流でしたが、今ではレーザーレベルや3D測定器を使って精度を数値化しています。これにより、職人の目だけではわからないわずかなズレも正確に確認できます。
型枠を組んだら、必ず職人同士で確認し、さらに監督者が再確認する仕組みになっています。これにより「思い込みによる見落とし」を防いでいます。
とはいえ、機械だけでは補えない部分もあります。長年の経験を持つ職人は、目視や触感で「この壁は少し傾いているな」「この床はほんの少し沈んでいるな」といった違和感を察知します。機械と人の感覚を組み合わせることで、より高い精度が確保されています。
工期の短縮プレッシャー
現代の建築現場はスピードが求められます。その中で「正確さを優先する余裕がない」となりがちなのが悩みどころです。
若手とベテランの差
精度への意識は経験によって差が出ます。新人が「このくらいなら大丈夫」と判断しても、実際は大きな問題になることがあります。教育や指導が欠かせません。
測定機器への依存
便利な機器に頼りすぎると、職人としての“感覚”が育ちにくくなるという懸念もあります。
近年はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やドローン測量、3Dスキャナーなど、デジタル技術を使った管理方法が増えています。
例えば、現場で型枠を組んだ瞬間にタブレットで設計データと照らし合わせ、ズレがあればその場で警告が出るといったシステムも登場しています。
これからの現場は、職人の技とデジタルの力を組み合わせた「ハイブリッド型」の精度管理が主流になっていくでしょう。
型枠工事の精度管理は、一見地味に見えるかもしれませんが、建物の品質を左右する重要な仕事です。
数ミリの誤差を見逃さず、正確な作業を積み重ねることで、安心して住める・使える建物が出来上がります。
精度へのこだわりこそが、職人の誇りなのです。
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